ACL再建術後のリハビリテーションについて
術後プロトコル
術後1週 | 松葉杖を使用し、自宅へ退院となります。 膝の曲げる角度は90°までを、伸ばす方は0°を目標とします。 |
術後3~5週 | 松葉杖の使用を徐々に1本から杖無しでも歩行を目指します。 膝の曲げる角度は120°までを、伸ばす方は必ず0°まで出来るようにしましょう。 普通に歩けるようになったら、徐々にスクワットも開始してください。 自転車にも乗れるようにもなります。 |
術後3ヶ月 | ジョギング等も開始しましょう。 |
術後4ヶ月 | ジョギングからダッシュまで出来るようになります。 また、横方向への動きの練習ができるようになります。 |
術後5ヶ月 | ジャンプの練習ができるようになります。 |
術後6ヶ月 | 少しずつ非対人練習から開始しましょう。 |
術後8ヶ月 | 徐々に対人練習にも参加していきましょう。 |
術後9ヶ月~ | 経過を見ながら試合形式の練習に参加し、試合復帰を目指しましょう。 |
上記はあくまでも目安なので、期間が来たらそれが出来るわけではなく、膝の曲げ伸ばしや筋力などがしっかり回復していることが前提となります。また、状態が良くてもプロトコルが早まることはありません。
※もし半月板縫合術や制動術を行っている場合は、半月板のプロトコルに沿ってリハビリを行います。
術後早期(術後~3週)
目的
患部の安静・組織回復の促進と松葉杖歩行の獲得
リハビリ内容
- 術後~1週目までは0°~90°の範囲で動かしましょう。
- 術後は炎症反応が強く出るためRICE*処置を行いましょう。
R:Rest(安静) I:Icing(冷却)C:Compression(圧迫)E:Elevation(挙上)
タオルつぶし運動(大腿四頭筋セッティング)

膝伸ばし上げ運動(SLR)

- タオルつぶし運動の時と同様に膝をしっかり伸ばした状態で足を上げます。
- 足は開いたり閉じたり、捻らずにまっすぐ上げるのが理想です。
ヒールスライド

- ももの裏の内側が働きやすいように、膝と足先を少しだけ内側に向けます。
- 1の姿勢から膝の曲げ伸ばしをします。ももの内側の筋肉が使われているのをイメージしましょう。
- 曲げていく際に膝が足先よりも内側に倒れないように気を付けましょう。
術後中期(術後3週~3ヶ月)(メディカルリハビリテーション期)
術後3~5週目:
痛みなく歩けたら松葉杖から独歩に移行しましょう。
術後5~6週目:
5cm段差⇒20cm段差まで段階的にクリアし1足1段で階段昇降ができるようにしましょう。
スクワット

まずは浅い角度から実施し、徐々に深くしていきましょう。重心が偏るようなら、足幅を狭くして行いましょう。体幹と下腿が平行になるように意識しましょう。
運動量は30秒×5回で体幹や骨盤の角度を前や後ろに変えてみましょう!
ジョギング(術後3ヵ月(13週)~)
- 1分ジョギング
⇒1分ウォーキング ×10セット 5~7日 - 3分ジョギング
⇒1分ウォーキング ×5セット 5~7日 - 5分ジョギング
⇒1分ウォーキング ×4セット 5~7日 - 10分ジョギング
⇒1分ウォーキング ×2セット 5~7日 - 15分ジョギング
⇒1分ウォーキング ×2セット 5~7日 - 徐々に時間を増やしましょう。
必ず平地で行いましょう。痛みや腫れがなければ、次のメニューに移り、痛みや腫れが出る場合は、出ない範囲で行いましょう。走るスピードは上げずに走る時間のみを増していきましょう。
術後後期(術後4ヶ月)(アスレティックリハビリテーション)
サイドステップ

つま先と膝が同じ方向を向くようにし、膝が内側に入ったり、体幹が傾いたりしない様にしましょう。
ジャンプ(両脚)

つま先と膝が同じ方向を向くようにし、股関節、膝をしっかりと曲げましょう。

膝が内側に入らない様にし、股関節もしっかりと曲げましょう。
ジャンプ(片脚)

体幹が傾かない様に注意して行いましょう。
術後8~12ヶ月以降
可動域や筋力、動きの質をみながら、徐々に競技復帰をしていきます。その際は主治医やリハビリテーション科のスタッフとしっかり相談のうえ、進めていきましょう。
トレーニングなどをする際は、相談してから行うようにして下さい。
術後5~6ヶ月頃までは、しゃがんだり正座はしないようにしましょう。
参考文献:園部俊晴他「改訂版スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション」