膝周囲の骨切り術について
2020年4月〜2021年3月の1年間において、膝周囲骨切り術を32件・38膝(例)執刀することができました。これはひとえに周囲の整形外科クリニックの先生方、そして病院のスタッフの皆様(特にデータ収集を行ってくれているPTの皆さん)、そしてアンケートにお答えくださっている患者様の皆様の多大なるご協力によってなし得たことだと思っております。いつも感謝の気持でいっぱいです、ありがとうございます。
1年間の結果を以下にまとめました(全て平均値として記載なのでよろしければご一読ください。)簡単ですが、術後の機能評価では、術後3ヶ月で7割の方が、半年ですべての方が術前以上に改善したことがわかりました。
また、入院期間は1ヶ月、仕事復帰は2-3ヶ月、スポーツ復帰までは4-5ヶ月ということがわかりました。まだ術後のデータは少ないので、その中でのデータとなりますが今後もしっかりと術後のフォローを行い改善点、反省点を明確に、より責任を持って手術を行っていきたいと思います。皆様が知りたいデータなどがございましたらいつでもおっしゃってください。
2022年度も何卒よろしくお願いいたします。
手術内訳
手術件数:32件・38膝(=例)、1膝を1例として以下記載しております。
38膝内訳:男性17、女性21、平均年齢59.3(41-73)
平均身長 男性:168.2cm(160.1-182) 女性:144.8cm(147.3-166)
平均体重 男性:80.5kg(54-109.7) 女性:67.9kg(41.6-92)
平均BMI 男性:28.6(22.2-37.5) 女性:27.9(18-38.6)
平均入院期間:30日(8-63日)
22例:MOWHTO(内側開大式高位脛骨骨切り術)
14例:Hybrid closed
1例:DLO(大腿骨・脛骨骨切り術)
1例:DFO(遠位大腿骨骨切り術)、外反膝に対して
22/38例:半月板縫合との組み合わせ
13:半月板後根縫合
7:Tie grip suture + Centrallization
1:All inside
1:Centrallization単独
合併症
2.6%(1/38):感染(術後4週で感染を生じ1回のデブリドマン手術を施行し、後遺症なし)
レントゲン評価(内反膝に対してのみ)
術前K-L grade:2.6
術前%MA:18.9%(-3-42)術前 mMPTA 83.9(81-87)
平均Correction angle 10.3°(6-13)
術後%MA:57.6%(40-71)術後 mMPTA 93.3(90-96)
機能評価
時期 | KOOS | JOA |
術前 | 51.8(24.7-77.4) | 73.5(90-96) |
術後1ヵ月(21例) | 32.1 | 56.5 |
術後3ヵ月(14例) | 54.1 | 75.7 |
術後6か月(8例) | 65.2 | 85 |
術後3ヵ月:71%(8/14)が術前よりも改善した
術後6ヵ月:100%(7/7)が術前よりも改善した
※KOOS・・・膝関節疾患の患者立脚型評価
※JOA・・・日本整形外科学会が制定した整形外科的な身体機能の判定基準として用いられる評価表
仕事・スポーツ復帰
術後仕事復帰までの日数:平均62日(10-187)(17例)
術後抜釘までの日数:214日(172-284)(5例)
スポーツ復帰までの日数:137日(133-146)(4例)